日本は廃プラスチックを輸出している?
日本では、プラスチックごみの多くがリサイクルされています。しかし、国内だけですべてがリサイクルされているわけではありません。2017年には、149万トンもの廃プラスチックが、海外へ輸出されていました。現在ではどうなっているのか、世界の動きとともに見ていきましょう。
海外の取り組み
2017年7月、中国政府が固体廃棄物の輸入量を制限するという案を発表しました。それによって、2019年末までに国内資源で代用できる固体廃棄物の輸入を少しずつやめていくこと、まずその第1弾として、2017年末までに生活由来の廃プラスチック、仕分けられていない紙ごみ、紡績ごみ(糸くずや布くず)、金属くずなどの輸入を禁止するようになりました。
その後、同年8月には、プラスチックの生産やプラスチック製品の加工過程において出た切れ端や切り落としなどの廃プラスチックを、混入物の割合や品質などに関係なく、全てを輸入禁止とする具体的な内容が明らかとなりました。
日本の廃プラスチックの輸出量の変化
その後、年末にかけて中国が輸入量の制限を行なったため、日本から中国への輸出量が減少しました。それまで月7万トンほどだった輸出量は、2017年12月末に中国への輸出が禁止になった後には、わずか月数千トンまで減少しています。
中国への輸出量は大きく減少しましたが、それによって、タイ、ベトナム、マレーシアなどへの輸出量が増えました。ところが、東南アジア諸国は、中国ほどの処理能力をもっていません。短期間で大量のプラスチックごみが輸入されたことで、自国内にプラスチックごみが溜まってしまいました。そのため、東南アジア諸国でもプラスチックごみの輸入に制限をかける国が出てきました。その結果、日本からの輸出量は、2016年は153万トンでしたが、2018年は101万トンにまで減少しています。
一般社団法人プラスチック循環利用協会のデータによると、2017年に排出された廃プラスチック903万トンのうちリサイクルされていたものは251万トンとされていますが、そのうち149万トンは海外に輸出され、海外でリサイクルされていた分が含まれています。
年 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2017-2021の比較 |
数量(kg) | 1,431,447,174 | 1,008,053,288 | 898,457,600 | 820,742,338 | 623,185,432 | 43.5% |
金額(千円) | 59,701,721 | 43,449,825 | 38,466,098 | 30,737,603 | 31,973,016 | 53.6% |
公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会が出しているデータを見ると、2021年の廃プラスチックの輸出量は62万トンになっています。2017年と比べると、廃プラスチックの輸出量は5年間で43.5%に減少していることがわかります。