カーボンフットプリントとは?

 みなさんはこのマークが何のマークかわかりますか?このマークは大きな使命をもってこの世に生まれました。このマークの使命とは、一体何なのでしょうか。

 このマークは、「カーボンフットプリントマーク」といいます。「カーボン(炭素)」とは、二酸化炭素(CO2)のことを表していて、「フットプリント(あしあと)」とは、その排出量はいしゅつりょうを表しています。カーボンフットプリントマークは、製品がその一生のうちに排出する温室効果こうかガスをCO2に計算し直した数で表すことを目的としています。

地球温暖化おんだんかのこわさ

 CO2が地球温暖化の原因げんいんの1つになっていることは、みなさんもう知っていると思います。地球温暖化が進むと、氷河がとけることで海の水の量がえ、一部の島国は海にしずんでしまったり、熱帯地方にしかいなかった病原菌びょうげんきんや害虫などが他の場所でも生息できるようになって病気を引き起こしたり、農作物に被害ひがいが出たりするおそれがあるといわれています。つまり、地球温暖化は日本だけの問題ではなく、世界中が一丸となって食い止めなければいけない問題なのです。

ライフサイクルで考える

 では、どうやって地球温暖化を食い止めればよいのでしょうか。いくつか方法はありますが、すぐに思いつく方法として「CO2の排出量をらす」ということがあります。CO2はほとんどエネルギーを使うたびに発生します。例えば、製品せいひんを使うときには、電力、ガス、ガソリンなど製品を動かすためのエネルギーが必要ですが、多くの場合、作るときや作ったものを運ぶとき、てるときなどにもエネルギーが使われています。また、何かのサービスを提供ていきょうするときにもエネルギーを消費し、わたしたちが呼吸こきゅうすることでもCO2が発生するので、原因はとても多いということがわかります。

 わたしたちの一生に、生まれてから、学校に入り、社会人になり、結婚けっこんして、子どもを育て、そしてとしを重ねていくという段階だんかいがあるように、製品の一生にも段階があります。製品の一生ではCO2の排出量が積み重なっていくので、CO2を減らす方法を考えるときには、その一生を通じての削減さくげん方法を考えることが必要となります。この製品の一生を「ライフサイクル」とびます。

 ライフサイクル全体でCO2を減らすためには、製品を作る人、使う人、捨てる人が、CO2の排出量を減らす必要があります。作る人がどんなに努力して省エネ性能せいのうすぐれた製品を作ったとしても、使う人が省エネを意識いしきしていなければ十分な効果は得られません。作る人だけでなく、使う人や捨てる人も、自分にできることを考え、行動することが大切なのです。

CO2の見える化

 では、使う人の意識はどのように変えていけばよいのでしょうか。地球温暖化の問題が重要であることは、みんなが気付いていながら、積極的に取り組んでいる人は少ないのが現状げんじょうです。この原因の1つに、自分がCO2を排出している実感がわかないことがあるのではないでしょうか。例えば、お財布さいふの中のお金が減ってきた時に、ほとんどの人はむだづかいをやめると思います。お財布の中に残っているのが〇〇円という金額きんがくでわかるからです。

 ところが、CO2は発生したところで目には見えませんので、自分がどれだけの量を排出したのかがわかりません。そして、自分の行動がどれだけ地球環境かんきょう影響えいきょうをあたえているかもわかりません。つまり、CO2を削減するためには、まず目に見えない情報を目に見える形にする必要があります。このように数に表して見えるようにすることを「見える化」と呼んでいます。

 この「見える化」をすすめるために「カーボンフットプリントマーク」があります。「カーボンフットプリントマーク」があることで、消費者はその製品の排出量がどれくらいかを初めて知ることができるようになるのです。また、事業者の方たちにとっても自分たちのCO2排出量削減の取組みを伝えることができます。

 しかし、「見える化」をするためには大変なこともあります。「見える化」のためには、工程こうていごとのCO2排出量を計算する必要があります。全ての工程を1つの事業者で管理している場合もありますが、ほとんどの場合は、原料や部品を他の事業者から買って加工しています。買った原料や部品の排出量が分からなければ、ライフサイクル全体のCO2排出量もわからなくなるのです。

 また、大きな製品や構造こうぞう複雑ふくざつな製品では、必要な原料や部品も多くなります。このこともCO2排出量の合計を出すのが大変になる原因といえるでしょう。

CO2排出量の計算

 では、事業者の方はなぜこんな大変な思いをしてまでCO2排出量を計算するのでしょうか。もちろん、法律ほうりつやルールで決まっているから計算しなくてはいけないという理由もあると思いますが、それだけではなありません。

 ライフサイクルの工程ごとのCO2排出量を数字で分かるようにすることで、ここの部品を別のものに変えれば省エネになるとか、少ない資源しげんの使用量で同じ効果が得られるなどの改善かいぜん点も見えてきます。事業者の方は、この結果を利用して省エネ性能などに優れた製品などを世の中にたくさん送り出してくれているのです。

目指す未来

 このような事業者の努力で世に生まれた製品も、消費者のみなさんに選んでもらうことが出来なければ、長生きすることができません。「カーボンフットプリントマーク」を使って事業者のみなさんの努力を世に公表することで、消費者のみなさんの意識も変えていくことができれば良いと思っています。

 何か製品を買う時に、重視するポイントは人によってちがうと思います。例えば、値段ねだんや、デザイン、機能きのうなどといろいろあります。環境によいものというのは、優先順位がまだまだ低いのかもしれません。ただ、世の中で見かける数がえて、その表すものが広く知れわたれば、その優先順位が変わってくるかもしれません。なぜなら、値段やデザインや機能は個人の選択ですが、環境によいかどうかは長い目で見れば地球人としての選択になるからです。

 日本の国内にも「カーボンフットプリントマーク」の他にもたくさんの環境性を表すためのマークがあります。また、日本だけでなく海外でも「見える化」に向けた取組みを始めている国はたくさんあります。その表現方法や表すものは違っていても目指す未来は同じだと思っています。消費者のみなさんに知れわたり、意識してもらうことで、これから大きく進んでいけるのです。

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