みなさんは、ふだん文章を読むときに、どんなことに気を付けて読んでいますか?何も考えずに、ただ読んでいるだけでしょうか。どんなことに工夫して文章を読めば、筆者(文章を書いた人)の伝えたいことを読み取ることができるか、考えていきましょう。
問いとその答えに注目する
下の文章を読んでみましょう。
「3人変われば、お店の風景が変わる」 地球には、地球温暖化や海洋汚染などたくさんの問題がありますが、私たちはとても大きな問題だと感じてしまいます。1人1人が行動することに、果たして本当に意味があるのでしょうか? 何か問題を解決しようとするときには、まずは小さい集団で考えることが必要です。自分1人の少しの力でも、どの集団なら変えられるか、考えてみましょう。はじめは友だちや家族など自分のすぐ近くの人たちからでいいのです。 自分が変えられると思う集団を決めたら、まずはその集団の5%の人が変わることを目指します。その集団の5%の人が変われば、他の人たちが注目してきて、10%、30%、50%...とどんどん広まっていきます。まずは0%から5%というのが大切なのです。 ことわざに、「三人、市虎を成す」というものがあります。市虎というのは、街(市)に出た虎のことです。1人に「街に虎が出た」と言われても信じないけれど、3人に言われると信じてしまいませんか?このように、本当のことではなくても、3人が言えばみんな信じてしまうという意味のことわざが「三人、市虎を成す」です。 本屋でアルバイトをしていた記者さんの話によると、店長に「3人から『この本ありますか?』と聞かれたら、すぐにその本を注文して、表紙を見せて置くようにしろ」と言われていたそうです。つまり、本屋に自分の読みたい本が置かれていなかったら、だれかにお願いして、3人が「この本ありますか?」と聞けばよいのです。そうすれば、本屋に新しい本が並び、そこで本屋の風景が変わります。小さく見える行動だけど、それによってぐっと変わるのです。 私たちにも、社会を変えていくことはできます。だから、そこにかかわる人たちの行動が大事なのです。お客さんが変わればお店が変わります。まさに「たった少しの力だけど、まったく力がないわけじゃない」のです。
最初の段落に「1人1人が行動することに、果たして本当に意味があるのでしょうか?」とありますね。この問いに対する答えが、この後に出てきそうです。このような問いが出てきたら、その問いを頭に入れたまま読み進めていくと、どこがその問いの答えになるか見つけやすくなります。この文章では、「たった少しの力だけど、まったく力がないわけではないから、自分1人でも行動して社会を変えていこう」ということが筆者の伝えたいことでしょう。本文中ではなく、タイトルに問いが書いてあることもあるので、文章を読むときには問いがないか探してみましょう。