共同研究してくださる先生、募集中!

愛媛大学は令和3年度から2年間の計画で、文部科学省委託事業「学力向上のための基盤づくりに関する調査研究」を請け負っています。

研究のねらい

小学校高学年を主な対象として、「概念型探究」をモデルとした単元開発を一緒に進めたいと思っています。前後の学年・学校での共同研究も、文部科学省委託事業としてではない形ではありますが、大歓迎です。

概念型探究については下で少し説明しますが、これを取り入れることによって、子どもが主体的・対話的で深く学ぶことを支援することができます。概念型探究では、子どもが主体となって探究を進め、かつ教科内容を深く学ぶと同時に、様々な学習スキルを身につけることができます。

この概念型探究はこれまで国際バカロレアのカリキュラムに沿ったインターナショナルスクール等でしばしば採用されてきましたが、日本の公立学校でも十分活用可能です。また、文部科学省の最近の教育改革の方向もこの概念型探究の方向を取り入れようとしているようです。

概念型探究とは

概念型探究とは、リン・エリクソンとローレス・ラニングが中心に開発された概念型学習をベースに、レイチェル・フレンチが提案する探究的な授業の作り方です。この概念型探究は、概念型学習と探究学習の特徴をあわせたものです。概念型学習は、学習すべき内容をトピックではなく、時間や文脈を超えて転移可能な形に言葉で抽象的に説明した「概念」の理解に焦点を置く授業づくりの考え方です。探究型学習は、問いを中心にした授業の作り方です。

研究対象となる教科/時間・単元

プラごみ、または防災に関わるテーマについて、特定の教科・時間もしくは合科的な単元を対象にしています。教科/時間は、家庭科、社会、理科、国語、保健、総合的な学習の時間等を想定しています。

単元開発の進め方

単元のおおよそのテーマを決めた後、そのテーマのもとで学ぶことが期待される「概念」をいくつか設定します。概念は、特定の場所や人にだけ関わるものではなく、時間や場所を超えて利用できる知識です。概念には教科内容に関わるものと過程に関するものがありますが、教科内容に関する概念は例えば以下のようなものです。これらの概念は、単元だけに留まるものではなく、学校種や学年、教科を超えてどのように発展していくべきか、関係する問いとあわせて整理していきます。

  • 家庭科
    • 題材「災害用持ち出し袋の中身を決めよう」
      • 概念的理解の例:「持ち出すものを決めるときには使いみちの広さ、重さやかさが小さく持ち運びやすいこと、長持ちするものという3つの点から選ぶとよい」
  • 社会科
    • 単元「地震からくらしを守る」
      • 概念的理解の例①:「地震の被害は住む地域の特徴(海浜地区か山岳地帯か、都市部か農村部か)によって大きく異なるため、自分の住む地域でよく起こる災害に備えることで被害を最小限にすることができる」
      • 概念的理解の例②:「災害が起こって避難する時間が長くなればなるほど、必要な備えは変わる」
    • 単元「プラごみ問題はどうやって解決すればいいのだろう」
      • 概念的理解の例①:「ごみを減らす方法にはリデュース、リユース、リサイクルの3つが代表的であるが、それぞれ長所・短所がある。特にどれくらいエネルギーが必要になるか、お金がどれくらいかかるか、いろいろな人が協力してくれそうかという3つの点から一番よい手段を選ぶことで効果的に減らすことができる。」
      • 概念的理解の例②:「ごみはそれぞれ理由があって生み出されている。効果的に減らすためにはそれぞれのごみが出される理由を理解し、有害なごみが出にくいような仕組みを提案していくことが大事。」

概念型探究では、これらの概念を教え込むことも稀にありますが、ほとんどの場合、様々な事例や観察、実験、調査などから情報を集め、そこからパターンを発見し、一般化できる知識を学習者と教師が一緒にまとめあげていきます。概念型探究では、そのための情報収集や情報整理、話し合いの進め方や理解内容のまとめや発表なども、プロセスに関連する概念的理解と位置づけて学んでいきます。

愛媛大学側の研究関心

私達としては、先生方に概念型探究の授業づくりに習熟していただき、活用力の高い児童生徒が、課題山積の現代社会を切り開いていく資質・能力を育むお手伝いをさせていただけたらと思っております。

また、文部科学省の学力向上事業では、読解力の向上が期待されていますので、上の概念型探究の授業と並行しながら、読解力を高めるための取り組みにご参加いただきまして、その教育効果を先生方と一緒に研究したいと思っております。ご協力いただけますと幸いです。

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