ライフサイクルとは?

 ライフサイクルという考え方が、特に環境かんきょう影響えいきょう評価ひょうかの分野でよく使われています。これは、ある製品せいひんの原材料を手に入れるところから使った後にてられるまでの「一生涯いっしょうがい(ライフサイクル)」において、環境にあたえる影響をすべて考えて、総合的に環境負荷らすことを目的としています。

 例えば、ある自動車が環境にあたえる影響を評価するときに、走行中の排出はいしゅつガスによる影響だけを考えるのではなく、製造や廃棄のときに環境にあたえる影響もふくめるという考え方です。家電製品の利用による二酸化炭素にさんかたんそ排出量はいしゅつりょうについて考えるときも、使うときの電力消費による排出量だけを考える場合と、製造や廃棄に必要となる電力なども考えた場合とでは、かなりちがった結果になります。

 それでは、自動車のライフサイクルを考えてみましょう。まず素材そざいを手に入れるところから始まり、部品を製造し、それらの部品を組み立てて自動車を作り、作られた自動車は走行し、最後には廃棄されます。自動車が走行するとき以外にも、二酸化炭素が排出されます。

 自動車が走行するときに二酸化炭素が排出されるのはわかりやすいですが、走行するためには燃料ねんりょうが必要です。燃料となるガソリンなどは化石燃料から作られていますが、日本では手に入れることがむずかしいので、外国から運ばれています。外国から運ぶためには大型の船などが使われ、それらを動かすことでも二酸化炭素が排出されます。

 このように、自動車を作ったり廃棄したり、燃料を手に入れる中でも二酸化炭素が排出されているため、それらをひっくるめて、ライフサイクル全体で環境にあたえる影響を考える必要があります。

 「環境にやさしい」と言われる電気自動車についても考えてみましょう。電気自動車は、走行中にガソリンなどの燃料ねんりょう燃焼ねんしょうさせることがないので、排出ガスの出ないクリーンな自動車といえます。しかし、走行するにはバッテリーなどに充電じゅうでんしておくことが必要です。このときの電気がどうやって作られているかを考えないと、本当にクリーンとはいえないかもしれません。化石燃料を使った火力発電によって作られた電気と、風力や太陽光などの再生可能エネルギーによって作られた電気とでは、環境にあたえる影響の大きさがちがいます。

 とはいえ、製品やその使い方によっても、環境への影響はちがいます。使用頻度ひんど故障こしょう回数、また故障の内容、廃棄方法などが変われば、環境への影響も変わってきます。このような特性を理解りかいしつつ、状況じょうきょうによって自分なりに判断はんだんしていくことも大切だといえるのではないでしょうか。

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