今のところ、プラスチックごみを分別回収してリサイクルしている割合は、世界全体でみると製造されたプラスチックのたったの9%しかありません(Geyer et al. 2017)。
では、どうしてこんなにもリサイクル率が低いのでしょうか?
1. コストと劣化の問題
本来プラスチックは細断して溶かすことで、また新しいプラスチックに生まれ変わります。しかしリサイクルされたプラスチック製品がまた同じ製品として生まれ変わることはほとんどありません。たとえば、PETボトルが再びボトルに戻ること(ボトルto ボトル)はほとんどありません。技術的には可能ですが、コストがかかるからです。
また、プラスチックは、リサイクルするたびに劣化していきます。そのため、透明でクリアなボトルから再び透明なボトルを作ることはなかなか難しいのです。なぜかというと、リサイクルの過程で不純物が混じり、質が落ちるからです。中身がクリアに見えるボトルでないと消費者は買ってくれないので、結局、新しいペットボトルが作られています。このように、「プラスチックをリサイクル」といっても、製品にこれまで以上の価値をつけることは難しく、とても経済性が悪い素材なのです。