海や川の岸を歩いていると、赤、青、緑などの色とりどりの小さな破片が目に入ります。これは、砂に混ざっている小さく砕けたプラスチックです。また、砂に埋まってもろくなったレジ袋は、破れて砂の中に残ってしまいます。砂からプラスチックごみだけを分けて回収することは、現実的にはもう難しいのです。
プラごみ問題の救世主⁉・・・「生分解性プラスチック」とは
そんなとき、放置してもやがて分解されて消滅する「生分解性プラスチック」というプラスチックが登場しました。救世主のようなプラスチックに、国もその研究と開発を推進していく考えです。では、このプラスチックはどのように分解されていくのでしょう?
生分解性プラスチックは、使用後に微生物によって分解され、最終的には水と二酸化炭素になります。わたしたちが普段使うプラスチックは、分解してくれる微生物がいないので、土や水の中のような自然界に放置すると、ずっとごみとして残ってしまいます。生分解性プラスチックは、ごみになっても消えてくれるので、使い方によってはたしかにプラごみ問題に効果的です。
ただし、生分解性プラスチックは、どこでも分解が進むわけではありません。分解の主役は微生物です。微生物は生き物なので、自らの活動に適した環境を選びます。そのプラスチックがごみになったとき、どういう環境で分解させることになるのか考えなければ、生分解性プラスチックを有効に使うことはできません。
海をはじめとするプラスチックごみの問題は、プラごみだけが問題ではありません。生分解性プラスチックは、プラごみ問題に有効な解決策を与える可能性がある有望な素材です。これに期待しすぎず、その可能性と限界を見極めながら、社会全体でプラごみの削減に取り組みましょう。