1.植物が発芽する条件を調べるには
植物は、水や空気がないと育たないのではないかと考える人も多いと思います。ここでは種が発芽するには何が必要か、実験で明らかにする方法をしょうかいします。植物が芽を出す条件は、3つあります。水、空気、温度です。そうです、日光が入っていません。日光がなくてもみなさんが大好きなピーマンやナスは発芽します。「ピーマンとナスきらいだし〜」と思った人、まさかいませんよね?では、ここからまじめなお話をします。
水、空気、温度という3つの条件が、本当に発芽に必要か調べるためにはどうしたらよいでしょうか。そのためには、調べたい条件があるときとないときで比べて実験を行います。それを対照実験といいます。
2.水の例
対照実験とは、ある条件のはたらきを調べるために、他の条件はまったく同じにして、その条件だけを取りのぞく実験のことです。その条件があるときには発芽して、ないときに発芽しないとしたら、その条件は発芽に必要だということがわかります。
発芽に水が必要かどうかを調べるために、水があるときとないときで比べる実験をしたとします(図1)。1つは、ぬれただっしめんに種を入れ、もう1つは、かわいただっしめんに入れます。もしかわいただっしめんで種が育たなかったら、水は発芽に必要であることが分かります。これをまとめると表1のようになります。
条件 | 結果 |
水あり | 種が発芽した |
水なし | 種が発芽しなかった |
3.1つの条件だけを変えなかったらどうなる?
では、次の場合はどうでしょうか。かわいただっしめんとぬれただっしめんを用意します。かわいただっしめんは15℃の冷蔵庫に、ぬれただっしめんは、日の当たる場所にそれぞれ置きました。そうすると、ぬれただっしめんだけ発芽しました。そのとき、発芽した理由はなんでしょうか。「だっしめんがぬれているから」、「日光に当たったから」、「温度があたたかいから」、いったいどれが発芽に必要なことでしょうか。そうです、条件が多すぎて、何が植物の発芽に必要だったのか決めることができません。発芽したのは水があってあたたかいところ、発芽しなかったのは水がなくて冷たいところでした。本当はぬれていることが大事なのですが、水と温度の両方がともにちがっていると、どちらが大事な条件なのか決めることができません。だから、条件が1つだけちがうように実験の準備をしなければいけないのです。
4.2つ以上の条件を比べたいとき
これまでは、1つの条件だけを変えて比べるのが大事だと言いました。しかし、2つ以上の条件が関係することもあるので、1つだけしか調べられないのは困ります。たとえば、水があって、さらにあたたかいときにだけ発芽するとしたら、水と温度の両方を調べないといけません。そこで役に立つのが、すべての組み合わせを用意するという方法です。大事なのは、組み合わせすべてを用意することです。ですから、たとえば「あたたかくて水がある」、「あたたかくて水がない」、「冷たくて水がある」という3つの組み合わせだけを用意したのでは、実験結果を正しく読み取ることができません。すべての組み合わせをしっかりともれなく用意するには、表をかくといいでしょう。その例を表2に示します。この表2のようにまとめると、条件のちがいを簡単に見比べることができます。
水あり | 水なし | |
空気あり | 発芽した | 発芽しなかった |
空気なし | 発芽しなかった | 発芽しなかった |
次に、この結果をどう読み取ればいいか、グループに分けて考えましょう。表2には全部で4つの条件がありますが、縦か横かどちらかだけに注目すると、それぞれ2つのグループに分けることができます。まず、縦の方向、つまり水があるかないかだけに注目してみましょう。水ありの条件では、空気があるときにだけ発芽しました。しかし、水なしの条件では、空気があってもなくても発芽しませんでした。つまり、水は発芽に必要なのです。次に、横の方向、つまり空気があるかないかだけに注目します。空気ありの条件では、水があるときだけ発芽しました。空気なしの条件では、水があってもなくても発芽しませんでした。これらのことから、水があって、空気もあるときにだけ発芽することがわかりました。まとめると、2つの役割を同時に調べるときには、すべての条件の組み合わせを試すことで、1つ1つの条件がどのようなはたらきをしているかを明らかにすることができるのです。