日本のプラスチックリサイクルの実際とは？

世界基準からズレた日本の「プラごみリサイクル率84％」の実態 | Forbes JAPAN 公式サイト（フォーブスジャパン）

昨年、日本でもようやく地球の課題として認識された「海洋プラスチック問題」。単純に海を漂うごみ問題にも思われているが、事態はもう少し深刻だ。簡単に説明するならば、人間社会が排出したペットボトルやビニール袋など様々なプラスチックごみ（廃プラ）が...

　日本では、プラスチックの分別回収ぶんべつかいしゅうが世界でもトップクラスに進んでいます。国連が2018年に発表した報告ほうこく書でも、日本の回収かいしゅうは見習うべきだと言われており、日本において誇ほこれる点だと言えます。こうして分別回収ぶんべつかいしゅうされたプラスチックは、リサイクルされていることになっています。日本が発表している数字では、日本のプラスチックのリサイクル率りつは84%と、世界的に見てもかなり高くなっています。では、これ以上いじょうプラスチック対策たいさくはいらないのでしょうか？

3つのリサイクル

　日本の政府せいふや企業きぎょうは、リサイクルには、「マテリアルリサイクル」「ケミカルリサイクル」「サーマルリサイクル」の3つがあるとしています。

　マテリアルリサイクルは、ペットボトルごみがペットボトルに生まれ変かわったり、廃はいプラが駅ホームのベンチやバケツに生まれ変かわったりと、モノからモノへと生まれ変かわるものです。しかし、このリサイクル方法ほうほうだと、リサイクルするたびにどんどん品質ひんしつが悪くなり、使えないものになってしまいます。

　そこで、新技術しんぎじゅつとして期待されているのがケミカルリサイクルです。ケミカルリサイクルは、廃はいプラを分子ぶんしと呼よばれる小さな粒つぶに分解ぶんかいしてからプラスチック素材そざいに変かえるので、何度でも再生さいせいできます。理想的なリサイクルのように聞こえますが、分子ぶんしに分解ぶんかいするために大掛がかりな工場がいるので、お金やエネルギーがかかってしまいます。

「サーマルリサイクル」とは？

　サーマルとは、「熱ねつの」という意味です。サーマルリサイクルは、ペットボトルなどのプラスチックをごみ焼却炉しょうきゃくろで燃もやし、その熱ねつをエネルギーとして回収かいしゅうするというものです。回収かいしゅうされた熱ねつは火力発電や温水プールなどに利用りようされています。このようにごみを使った火力発電は「ごみ発電」とも呼よばれています。プラスチックは石油から作られているので、よく燃もえて高温になりますが、生ごみなど水分の多いごみは燃もえにくく、ごみ焼却炉しょうきゃくろの中の温度が下がってしまいます。そのため、プラスチックはいい燃料ねんりょうになるのです。

　しかし、海外には「サーマルリサイクル」という言葉はなく、「エネルギー回収かいしゅう」や「熱回収ねつかいしゅう」と呼よばれ、リサイクルとは考えられていません。海外でのリサイクルの主流は、マテリアルリサイクルや、ちゃんとモノに生まれ変かわるタイプのケミカルリサイクルです。

　さらに言うと、日本の4％を占しめるケミカルリサイクルも、実際じっさいは廃はいプラを製鉄所せいてつしょに持って行って鉄鉱石てっこうせきと石炭と一緒いっしょに燃もやしています。つまり、日本でリサイクルされているとされるプラスチックの7割わり強が、実は燃もやされているのです。