ペットボトルの日本における回収率は93.0%、リサイクル率は85.8%と世界最高水準(2019年度)です。しかし、回収されたペットボトルの多くがフィルムやシート、繊維などにリサイクルされ、その後焼却されます。資源をより有効活用するため、使用済みペットボトルから新しいペットボトルへ半永久的に再生できる「ボトルtoボトル」リサイクルがここ数年で拡大してきました。大手飲料メーカーの多くがペットボトルを循環可能な環境に配慮した容器と位置付け、リサイクル活動を強化しています。
〈「ボトルtoボトル」リサイクルが広がる〉
ペットボトルは、軽くて割れず、何度もキャップができ、さまざまな飲み物の風味を安定的に保てることなどの理由で増加してきました。飲料メーカーを会員に持つ一般社団法人全国清涼飲料連合会が、2018年11月に「清涼飲料業界のプラスチック資源循環宣言」を発表したことをきっかけに、大手飲料メーカーは100%有効利用を加速させる「ボトルtoボトル」リサイクルに取り組むようになりました。このリサイクルは、飲料各社が取り組みを強化しており、今後さらに拡大するのは確実だと考えられます。そして、2020年に最も注目されたのは、コカ･コーラシステムが、日本初の試みとして2020年3月に再生ペット樹脂100%を使用した完全循環型の「い･ろ･は･す 天然水100%リサイクルペットボトル」(555ml)を発売したことです。
〈循環社会への貢献が最優先、コスト増加でもリサイクル技術磨く〉
このように、国内では「ボトルtoボトル」に取り組む飲料メーカーが増えてきました。ただ、現在の「ボトルtoボトル」技術の主流は、“メカニカルリサイクル”と呼ばれるもので、回収したペットボトルを選別･洗浄し、高温や真空などで汚染物質を取り除いて再生する方法のため、何度もリサイクルすると品質に問題はないが、透明度が少しずつ落ちていくという欠点があります。また、ペットボトル以外からペットボトルに再生できないことや使用済みペットボトルが他の素材へのリサイクルに使われてしまい、回収量不足になることなどの課題もあるそうです。
〈ペットボトルの循環利用に向けて〉
飲料各社はラベルのない製品の導入や「ボトルtoボトル」のリサイクルでプラスチックの使用量そのものを減らす努力とともに、使用済みペットボトルのスムーズな回収に向けて、自治体や流通業との連携を進めています。また、生活者の協力も欠かすことはできません。ペットボトルを大切な資源として、キャップやラベルをはがして分別し、資源ごみとして排出したり自動販売機の横にあるリサイクルボックスに空き容器以外を入れないようにしたりすることができるようになれば、きれいな状態の容器が集まるため、格段にリサイクルがしやすくなるといえます。このようにして、ペットボトルが「悪」ではなく、資源循環しやすい容器であることを証明できれば、アジアなどの各国に日本のリサイクル技術を伝達することができ、実現すれば、世界で多くの人々が、安全で使い勝手がよく、安く手に入れることができるペットボトルを使い続けることができるでしょう。
