カーボンフットプリントとは、環境問題を考えるための目印のひとつです。世の中のすべての商品やサービスは、作ってから捨てるまでの間に多くの温室効果ガスを排出しています。その温室効果ガスの量を見える化したものが、カーボンフットプリントです。今回は、カーボンフットプリントの目的や取り組み、課題を解説します。
カーボンフットプリントとは?
カーボンフットプリントとは、商品の原材料を手に入れてから製造し、使用して、捨てるまでの間に排出した温室効果ガスを、CO2(二酸化炭素)に計算し直して、数に表すしくみのことをいいます。
原材料を手に入れる段階で出たCO2、流通や売る中で出たCO2、保管するときに出たCO2というように、それぞれの工程で出た温室効果ガスを合わせて、CO2の総排出量を商品に書いた表示のことも、カーボンフットプリントと呼びます。
カーボンフットプリントの目的
カーボンフットプリントは、何を目的として始まったのでしょうか?わたしたちは、温室効果ガスがどれだけ排出されているのか、自分の目で確かめることはできません。そのため、商品の生産や流通の中でCO2がたくさん排出されていたとしても、それを実感することは難しいのです。そこで、あらゆる商品やサービスのCO2の排出量を見える化することで、メーカーなどと消費者の間で気づきを共有し、CO2排出を減らしていくことがカーボンフットプリントの目的です。
商品を買うときにCO2の排出量を知る機会ができるので、環境によい商品を選ぶように人々の意識を変えてもらうこともねらいとしています。脱炭素社会の実現を目指すには、1人ひとりが行動してもらえるようにする必要があります。カーボンフットプリントはその助けになると期待されています。
日本でのカーボンフットプリントの取り組み
カーボンフットプリントの取り組みは、2007年にイギリスから始まりました。日本では、2009年からカーボンフットプリントの事業が行われ、現在はプログラムとして運営されています。このプログラムに参加している企業は現在約300社です。プログラムでカーボンフットプリントのマークを表示できるような認定を受けた商品・サービスは、800件以上となっています。
カーボンフットプリントの課題
カーボンフットプリントの課題のひとつは、CO2排出量を計算するのにかかる手間や費用に対しての効果の低さです。日本ではまだまだカーボンフットプリントについて知られておらず、あまり効果が出ていません。カーボンフットプリントのラベルが表示された商品が少ないことも1つの原因です。
ラベルのついた商品が増えれば、多くの人に知ってもらえるのではとも思いますが、消費者は環境意識だけでなく、値段や品質などさまざまな基準で商品を選びます。そのため、カーボンフットプリントの表示が、本当に商品を買ってもらうことにつながるのか?という疑問の声もあります。
しかし、カーボンフットプリントはCO2排出量を見える化するにはとてもわかりやすい表示のしかたです。多くの人に広まれば、環境への意識を変えることにつながる可能性は十分あるといえるでしょう。
買い物するときにはカーボンフットプリントを意識してみよう!
日本政府は、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを宣言しています。それを実現するためには、1人ひとりの環境意識を高めることが不可欠です。日本が最も環境に負荷をかけているのは、CO2の排出だといわれています。CO2の排出量を削減するためのひとつの方法として、消費者が買い物をするときにカーボンフットプリントを意識することが大切です。