人間社会が発展してきた背景には、エネルギーの存在が欠かせません。しかし近年、人口増加や経済成長にともない、世界のエネルギー消費量は急増しています。限りあるエネルギー資源をどう利用していくかは、今後の大きな課題となっています。
増え続ける世界のエネルギー消費量
2040年、新興国がカギをる
世界のエネルギー消費量は年々増え続けています。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2040年の世界のエネルギー消費量は、2014年と比べておよそ1.3倍に増加し、その増加する分の多くをしめるのが、中国やインドなどのアジアを中心とした新興国だと予測しています。これらの新興国は、近年経済的に大きく発展しており、今後ますますその成長は加速していくでしょう。それによって、経済を支える石油や石炭、天然ガスといった化石燃料が必要とされる量も増加していくとみられています。
なくなることが心配される化石燃料
資源はいつまで使い続けられるのか
経済成長と人口増加により、今後、世界のエネルギー消費量は大きく増加すると考えられています。特に、アジアの発展途上国を中心に、化石燃料の利用が増え、世界でエネルギーを使う量は2040年には2014年の約1.3倍になるともいわれ、限りある資源を手に入れるために世界で競争が激しくなることが心配されています。暮らしを支える電気を供給するために、エネルギー資源を安定的に確保することがより重要となっています。
石油をめぐる問題
中東諸国へ依存する原油
石油は政治的に不安定な中東地域にかたよっています。中東とは、サウジアラビア、イラン、イラクなどをふくむ地域です。中東地域では、過去に二度世界的なオイルショックが起こったように、石油を手に入れられなくなる可能性があります。日本は一次エネルギー資源のおよそ4割が石油で、さらにその86%を中東にたよっています。
オイルショック:中東の産油国が石油の生産を減らしたり、原油価格を大きく引き上げたりしたことで起こった経済的な混乱のこと。石油危機ともいう。
不安定な原油価格
原油価格は、市場経済によって常に変動しています。原油需要(ほしい量)の増加に供給(生産する量)が追い付かなければ価格は上がり、その逆であれば価格は下がります。つまり需要と供給のバランスが価格を変動させているのです。原油の価格は、1986年に急落して以来、1990年代にかけては安定した価格が続いていました。しかし、2000年代は中国やインドなど新興国の石油需要の増大や、主要産油国である中東地域の政治的な不安、さらに短期的な価格変動に着目してかせごうとする資金が大量に流れてくることなどにより、原油価格は大きく変動しています。