私たちがふだん食べているお米には、健康に欠かせないたくさんの栄養成分がふくまれています。そんなお米には、たくさんの品種やいろいろな栽培方法があります。数ある中でも、れんげ米というものがあることを知っていますか?
れんげ米とは
昔から伝わるれんげ農法で栽培されたお米を、れんげ米といいます。れんげ農法は、苗を植える前にれんげ畑を作って、空気中の窒素を土壌(作物を育てる土)に固定して、それを有機肥料として利用するものです。れんげが発酵することによって、土を活性化して稲を元気に自然のまま育てることができるのです。れんげが肥料の役割をしてくれることで、化学肥料や農薬を使わずに安心して食べられるお米をつくることができます。
れんげ草はマメ科ですが、マメ科の植物は根に根粒菌というものを持つものが多いです。根粒菌は、土中の窒素を根にためて土壌を肥やす性質があります。窒素は、葉や茎を成長させるために必要な栄養素です。れんげ草の花が咲いた後は、そのまま田畑に混ぜて耕すことで、肥料として使用されていました。そのため、一昔前までは耕作を休んでいる田畑を肥やすという目的で植えられていました。
れんげ農法の歴史
昭和30年代中頃までは、日本のいたるところでれんげ農法が行われていました。しかし、第二次世界大戦後には食糧不足が原因で大量のお米が必要になったため、収穫量を増やすために化学肥料を使用した栽培が行われるようになりました。それからは手間のかかるれんげ農法を見かけることが少なくなりました。
しかし、お米の収穫量は増えても、化学肥料を使用したことで稲が病気になってしまいました。そしてその対策として危険な農薬を使用したことで、天敵である虫や田んぼにいる生物がいなくなってしまい、環境を破壊してしまいました。それから昭和の終わりになると、子どもたちに安全・安心なお米を食べさせたいという想いから、もう一度れんげ農法が始まっています。