環境にも体にも優しい「脱プラスチック」

脱だつプラスチックとは？

　最近よく耳にするようになった「脱だつプラスチック」とは、プラスチックの利用りようをやめることです。たとえば、プラスチック製品せいひんやビニール袋ぶくろの使用をやめること、プラスチック製品せいひんを代わりの素材そざいの製品せいひんに切り替かえることなどが、脱だつプラスチックです。

　この背景はいけいには、深刻しんこくな海洋プラスチックごみ問題があります。5mm以下に細かくなった「マイクロプラスチック」を食べてしまう魚や鳥などへの影響えいきょう、さらには、それらを食べる人体への影響えいきょうも心配されています。こうした影響えいきょうを減へらすために、プラスチックの利用りようを減へらすことが、今世界中で求もとめられています。

1人ひとりが、プラスチックごみの問題解決かいけつに貢献こうけんできる

　日本は、プラスチック包装容器ほうそうようきの1人あたりの使用量が世界第2位、プラスチック生産せいさん量は第3位です。しかし、プラスチック包装容器ほうそうようきのほとんどが使い捨すてで利用りようすることを目的に作られていて、リサイクル回収かいしゅうされるのは全世界で14％しかありません。

　こうしたことから、1人ひとりのプラスチックの利用りようを減へらすために、2020年7月からはスーパーなどでプラスチック製せいレジ袋ぶくろが有料ゆうりょうになりました。私わたしたちも、日々の生活の中で脱だつプラスチックを意識いしきしていくことで、プラスチック問題を解決かいけつするための力になれるのです。

脱だつプラスチックはなぜ「優やさしい」？

　では、プラスチックの利用りようを減へらすことは、どのような点が優やさしいのでしょうか？

・海洋プラスチックごみの問題解決かいけつに貢献こうけんできる
　先ほどもあったように、海洋プラスチックごみの問題が深刻しんこくですが、プラスチックの利用りようを減へらせば、こうした影響えいきょうを少なくすることができます。

・温室効果こうかガスによる地球温暖おんだん化への影響えいきょうを少なくすることができる
　プラスチックの原料げんりょうは石油です。プラスチック由来ゆらいの温室効果こうかガス排出はいしゅつは、2014年の1％から2050年には最大で15％にまで増ふえると予測よそくされています。プラスチックの利用りようを減へらせば、温室効果こうかガスの削減さくげんにもつながります。

・生物に害がいのある化学物質ぶっしつを減へらすことができる
　プラスチックをつくるときには、使い道に合わせてやわらかくしたり、硬かたくしたり、発泡はっぽうさせたりするため、生物に害がいがあるとされるさまざまな化学物質ぶっしつが使われています。脱だつプラスチックは、こうした化学物質ぶっしつによる健康けんこうへの影響えいきょうを減へらすことができます。

　つまり、脱だつプラスチックは環境かんきょうにも私たちの体にも優やさしい行動だと言えます。

世界の脱だつプラスチックのアイデア

　世界的な脱だつプラスチックの流れを受けて、世界中でさまざまな工夫をこらした脱だつプラスチックの商品やサービスが誕生たんじょうしています。

・100％自然素材しぜんそざいの歯磨はみがきタブレット
　数回かんで普段ふだん通り磨みがくだけのタブレットタイプの歯磨はみがきです。歯磨はみがき粉こが入っているプラスチックのチューブをなくすことができます。自然素材しぜんそざいをベースとした原材料げんざいりょうで、グルテン（小麦）、乳製品にゅうせいひんが入っていないので、アレルギーがある人も安心して利用できます。

・パスタのストロー
　アメリカのマリブ市のある会社が販売はんばいしています。大きめの穴あなのパスタなのでストローにぴったりです。捨すてられても早く分解ぶんかいされるにもかかわらず、3時間以上いじょうも水に耐たえることができ、強度にも優すぐれています。

脱だつプラスチック商品を選えらぶポイント

　「脱だつプラスチック商品」を選えらぶポイントを4つお伝つたえします。

・代わりの素材そざいが使われている商品を選えらぶ
　すぐに取り組めるのは、分かりやすい他の素材そざいが使われている商品を選えらぶことです。プラスチックの代わりには、ガラスや木、紙、ステンレス、鉄などが使われます。しかし、代わりの素材そざいを使っていても環境かんきょうに悪いものを使っていることもあるので、長く使用できるか、本当に環境かんきょうに優やさしいか、などを考えることも必要ひつようです。

・見た目で判断はんだんできないものは表示ひょうじを確認かくにんする
　商品の中には、木材のように見えても実はプラスチック製せいのものなど、見た目では判断はんだんできないものがあります。このように見た目で分からないものは、製品せいひんの素材そざい表記（プラマーク、PP、PEなど）を見て確認かくにんしてみましょう。

・衣類いるいなどの繊維製品せんいせいひんは、天然繊維てんねんせんいのものを選えらぶ
　繊維生産せんいせいさんの約やく6割わりは、石油からつくられるポリエステルやアクリル、ナイロンといった合成繊維ごうせいせんい、つまり繊維状せんいじょうのプラスチックです。これらを洗濯せんたくすると、細かいマイクロプラスチックが水に流れ出してしまうので、できるだけ綿めんや絹きぬ、麻あさといった天然繊維てんねんせんいのものを選えらびましょう。

・マイクロビーズが使われていないものを選ぶ
　洗顔料せんがんりょうや歯磨はみがき粉こなどに、マイクロビーズという目に見えないほど小さな球状きゅうじょうのプラスチックが使われていることがあります。とても細かいので、下水処理場げすいしょりじょうでも通り抜ぬけてしまい、毎年何百万トンも海に流れこんでいます。買うときは、マイクロビーズが使われていないものを選えらびましょう。

　たくさんのものがプラスチックでつくられている現代において、完全な脱だつプラスチックは難むずかしいものです。まずは「レスプラ」、つまりできそうなところからはじめて、少しずつプラスチックを減へらしていくのが長続きするコツです。